睡眠に関する疑問のあれこれ
なぜ睡眠は必要なのか?眠気って何?
睡眠の基礎研究においては、ふたつの大きな謎があるそうです。
ひとつめは「なぜ睡眠は必要なのか?」、ふたつめは「眠気とは何か?」です。
●なぜ睡眠は必要なのか?
私たちは眠ることによって、定期的に脳をメンテナンスしています。しかし「眠ることで休息している」と考えるのは、じつは間違いなのかもしれません。
なぜならば、睡眠中も脳は活動し続けているからです。眠っているときの”大脳皮質”の神経細胞の活動を見てみると、起きているときの動きとほとんど変わりがありません。脳の細胞は活動し続けているわけですから、いわゆる”脳の休息”とは言い難いのです。
ちなみに、地球上の神経系を持つ動物はすべて眠ります。
睡眠中は意識がなくなり、外界から切り離されるため、野生動物にとってはとても危険な状態にさらされます。それはもちろん人間にとっても同じです。もしも、眠らない動物が現れたのなら、そちらのほうが断然有利なのですが、いまだにそのような動物は発見されていません。
つまり、そのリスクを補ってあまりあるだけの必要性が睡眠にはあると考えられます。しかし具体的に、「なぜ睡眠は必要なのか?」はいまだによくわかっていないのです。

●眠気とは何か?
私たちの脳は起きているあいだ、「いま現在、何時間起きているか」という情報をカウントしています。個人差もありますが、起床して14時間から15時間ぐらい経つと眠くなってきます。
さらに私たちの脳は、過去数日間の累積的な覚醒時間(目覚めている時間)までもカウントしていて、 その累積覚醒時間が長くなると、眠気が起こるようにできています。
なお、眠気を取るには、眠るしかありません。もしも過労ならば横になって安静にしていれば解消していきますが、眠気はそのときに眠らなければ、絶対に解消することはないのです。
しかし、眠気のメカニズムが具体的に脳のどこでどのように行われているのか、またどういう仕組みで時間をカウントしているのか、などは解明されておらず、いまも研究が続けられています。
ちなみに、最新の研究では、脳のなかのタンパク質の化学反応”リン酸化”が、 眠気の実態の一部なのでは? ということが仮説となっています。