知っているようでじつは知らない睡眠用語

睡眠負債:日本人の睡眠不足を原因とした経済損失は
GDPあたり約3パーセント?

​​睡眠不足が何日も続いた状態を”睡眠負債”と呼びます。日中の活動のパフォーマンスを下げるだけでなく、私たちの健康にとってもさまざまなリスクがあります。​ 

​​日本人の平均睡眠時間は、OECD(経済協力開発機構)加盟国などの先進国のなかで、もっとも短いとされています。​ 

​​海外で行われたウェアラブルデバイスのデータを使った調査では、東京都民の平均睡眠時間は5時間30分程度に留まり、各国大都市のなかでも”世界一眠らない都市”であることもわかっています。​ 

​​また、別の調査では、日本人の睡眠不足を原因とした経済損失はGDPあたり約3パーセントとも言われています。​ 

​​そして、個人に関わるリスクでは以下のようなことが、さまざまな研究・調査で明らかになっています。​ 

​​日本に残っている「寝る間を惜しんで頑張ることは美徳だ」という考え方はナンセンスで、これからは「毎日を頑張るためにも良い睡眠をとろう」という考え方が大切になるでしょう。​ 

1 ​死亡率への影響​ 

​​平日の夜の睡眠時間が7時間程度の人がもっとも死亡率が低く、それより短くても長くても死亡率が増加します。ただし、睡眠時間が長い人の死亡率が増加するのは、”眠り過ぎ”なのではなく、長く睡眠を取らざるを得ない病気があって、その影響で健康が損なわれた可能性が指摘されています。​ 

​​2 肥満や糖尿病、高血圧など、生活習慣病のリスク​ 

​​睡眠不足状態で​​2週間を過ごした実験では、摂取カロリー・体重・内臓脂肪の増加が認められ、反対に睡眠不足の人がいつもより長く眠る実験では、摂取カロリーが抑えられる結果が得られています。大人の場合、1時間睡眠時間が短くなるとBMI(ボディマス指数)が約0.35上がるとされ、睡眠時間が短い人ほど肥満の傾向にあると言われています。​

​​3 認知症のリスク​ 

​​認知症は脳の老廃物の蓄積により発症していると考えられています。最近の研究では、脳における老廃物は体液によって洗い流されており、特に眠っているあいだに盛んに行われていることがわかってきました。​ 

柳沢先生について

​​柳沢 正史 / Masashi Yanagisawa​
​​株式会社S’UIMIN 代表取締役社長​

1960 年東京生まれ。筑波大学大学院修了、医学博士。米国科学アカデミー正会員。大学院であった 1987 年に血管制御因子エンドセリンを、1998 年に睡眠・覚醒を制御するオレキシンを発見。31歳で渡米し、24年間にわたりテキサス大学とハワードヒューズ医学研究所で研究室を主宰。2012年、文部科学省世界トップレベル研究拠点プログラム国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)を設立。2017年、株式会社S’UIMINを起業し、代表取締役を務める。『Pokémon Sleep(ポケモンスリープ)』の開発にあたり、睡眠情報に関する監修を担当。

紫綬褒章(2016年)、
朝日賞、慶應医学賞(2018年)、
文化功労者(2019年)、
ブレークスルー賞(2023年)など受賞多数。

株式会社S’UIMIN公式サイトは​こちら